おれ的わたし的2009ベスト


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2009年にリリースされた音楽で、良かったものベスト10

・V.A.(Selected by Shhhhh) /UNICORISMO
 アルゼンチンの「音響派」以降のシーンからダンス音楽的視点で日本にて独自編集されたコンピ。
 先鋭的で内容豊潤で形容不能で、それでいて踊れる曲ばかり。
 中盤のSantiago Vazquez〜Ramiro Musotto〜La Bomba De Tiempo〜Hugo Fattoruso Y Rey Tamborまでの
 クールな流れがたまらなく素敵。

・T-ARA /ABSOLUTE FIRST ALBUM
Youtube
 今年世界中を巻き込んで大いに沸いた韓国ガールズシーンから年末に滑り込んできた名盤にして珍盤。
 ぶっとい音色のシンセまみれでダンス音楽仕様な前半と、歌謡テイストを現代K-POP的にアップデートして聴かせる後半。
 異質なもの同士が無造作に併存する様が随所で見られるのだが、これは果たして天然なのか計算されたものなのか。

・KARA /REVOLUTION
 →Youtube
 これも韓国から。楽曲単位では個人的に今年のK-POPナンバー1に当たるBROWN EYED GIRLSの「Abracadabra」が
 収録されたアルバム「Sound G」と迷ったが、アルバムトータルの安定感を評価してこちらを選出。
 誰にでも開かれたポップな楽曲のクオリティの高さに加え、
 ひとりひとりの声と、それらが重なったときの色がとても可愛らしく、かつ綺麗。
 ニコルがどんどん美人になっているのも目が離せない。2010年に初来日が決定。

・Quiero Club /Nueva América
 →Youtube
 メキシコのディスコ・パンク(?)なバンドの2nd。
 女性ボーカルの脱力的な歌声と、ポップとパンクが絶妙に同居した楽曲・演奏と、
 いちいちツボをわきまえている感じがとても素晴らしい。
 個人的にはブラジルのCSSよりもセンスは遥かに上だと思う。

・Maria Daniela y su Sonido Lasser /Juventud en éxtasis
 →Youtube
 「メキシコのテクノポップ」という売り文句で日本では売られていたメキシコのユニット。
 下品な程に露骨に打ち出された80年代的なシンセ音に、へなちょこな女の子ヴォーカルが乗っかる。
 こういうのがインディーシーンから出てきてヒットチャートに上がっているという、メキシコの音楽シーンがとても気になる。

・BOMBA ESTÉREO /BLOW UP
 →Youtube
 今年来日も果たしたコロンビアのユニット。クンビアに括られることが多いが、
 レゲエ、ダブ、ヒップホップ的要素も濃厚で、何よりも肝の据わった女性ヴォーカルのインパクトが魅力。
 ねっとりとしたヴォーカルと演奏で、屋外で聴けばがっつりと踊れそう。

・菊地成孔とPepe Tormento Azucarar /New York Hell Sonic Ballet
 →Youtube
 昨年挙げたバンドの作品については今年は挙げないという方針だったが、これだけは例外にして別格。
 もはやタンゴからも離れ、サルサやバレエ、オペラにシフトし、それでいて新たなダンス衝動を掻き立ててくれる、
 画期的なエキゾチック・ラウンジに。2010年には、このバンドがクラブのダンスフロアに進出し、
 Date Course Pentagon Royal Garden以来の新たなムーブメントを起こしてくれるのを期待したい。

・panicsmile /A GIRL SUPERNOVA
 →Youtube
 変拍子うんぬんが強調されがちだが、楽曲・歌詞・演奏の全体を貫くヘンテコ感やパンクな衝動が
 見事に高いレベルで結実している。現メンバーでの活動終了が発表されたpanicsmileだが、
 これだけ完成されたものが出来てしまったら活動を終えてしまうのも必然的か。

・大友良英 /ウルトラミラクルラブストーリー
 →Youtube
 ここ数年の日本の即興シーンから出てきた要素が映画音楽に持ち込まれ、結果として非常に静謐で美しいサントラに。
 「音遊びの会」メンバーが鳴らすトランペットの音をはじめとして、いわゆる「垂直な音」の存在感の大きさを
 実感することができる。大友良英映画音楽仕事では、個人的に最高傑作と位置づけている作品。

・Saori@destiny /WOW WAR TECHNO
 →Youtube
 何よりも表題曲の、楽曲・PVともアイドル曲にあるまじきネジの外れっぷりが痛快。
 ここまで突き抜けた曲は、日本からじゃなきゃ出てこない。
 amazonのレビューにもあるとおり、90年代を現代的な形にリフォームして蘇生させる試みにいち早く成功した例のひとつ。

上述のとおり、昨年挙げた人たちの新作については今回は意図的に除外したものの、そのルールを無視すれば、
Aira Mitsuki /PLASTIC、neco眠る /Even Kick Soysauce、PUENTE CELESTE /cancionesあたりは、
ベスト10と同等の出来であった。








2009年にリリースされた作品以外で、よく聴いた音楽

・ROBERT JOHNSON /THE COMPLETE RECORDINGS
 →Youtube
 今年からブルースを聴き始めた。まずはブルースの王道ということでこの1枚。
 このグルグル回っていて、白黒付けられない感じがたまらなく好き。

・Thelonious Monk /monk's music
 →Youtube
 ブルース繋がりでモンクも聴き始めた。ジャズ界ではかなり異彩を放っているのがよく分かる。
 掴み所が無いというか如何様にも解釈可能な感じが素晴らしい。

・想い出波止場 /VUOY
 →Youtube
 再発盤はどれも良いのだが、とりあえずいちばんキャッチーなこれを選んでみた。
 全くもって形容不能で異形なサウンドは、似ているものが他に2つとない独特のオリジナリティを放っている。

・choc quib town /SOMOS PACIFICO
 →Youtube
 2008年ごろにコロンビアからリリースされたヒップホップグループの作品。
 スペイン語ラップの訛りっぷりが絶妙な快感をもたらす。
 BOMBA ESTÉREOと同様に、コロンビア音楽の豊潤さを示唆する。

・SETSUBUN BEAN UNIT /SETSUBUN BEAN UNIT
 →Youtube
 日本大好きなチューバ奏者、Gideon Juckesのバンド。
 数年前に海外盤を購入していたのだが、今年日本盤がリリースされ、日本での初ライヴも果たしたので挙げておく。
 盆踊りや民謡などの日本の伝統音楽とアヴァンギャルドがくっついて、ダンス音楽としてのプリミティビティを高めている。

・M.I.A /KALA
 →Youtube
 本当に今更ながらM.I.A。名前は以前から知っていたけど、チェックしてませんでした。
 数多くの辺境ビートを貪欲に吸収して自分たちの音楽にしている。カッコ良すぎる。こりゃ売れるわ。

・南博4 /GO THERE!
 →Youtube
 今年になってようやく南さんの音楽の良さが分かるようになってきた。
 南博Go There!は、ジャズファンからシカトされてるだろうけど、これほど現代進行形で「タフ」なジャズが
 生で聴ける機会ってなかなか無いんじゃないかと。

・rei harakami /あさげ - selected re-mix & re-arrangement works / 1
 ハラカミはテクノ寄りだった昔の作品も味わい深い。そんな氏のアーリーリミックスワークスのベスト盤。
 中でも、Date Course Pentagon Royal GardenのPan American Beef Stake Art Federations Rei Harakami 餅米 Re-Arrange (メッセージ付)がすごく良い。
 混沌として未整理な感じはオリジナルのそれを受け継いでいるのだろうけれども、
 ハラカミがこんなリミックス作れるのか、目から鱗が落ちる。

・detune. /wa-wo-n
 →Youtube
 HEADZから出たバンドの1st。佐々木敦の息が掛かっているのか、と色眼鏡で見てしまいそうだが、
 そんな偏見を捨てて聴いてみると素晴らしいポップス作品であることが分かる。
 甘い歌声と、作り込まれていて一筋縄ではいかないメロディが終始一貫している。
 youtube映像は今年出た2ndアルバムの曲。新作も同様に素晴らしい。
 もっとも、新作を挙げたい口実でこの旧作を紹介しているのが本音だったりする。

・嵐 /ARASHIC
 →Youtube
 今年大ブレイクした嵐だけれども、最近のポップ路線よりも、ソウル〜ヒップホップな音楽性が濃厚だった
 この旧作が個人的には好き。youtube映像の曲とか本当にカッコいい。というか、櫻井くんがカッコいい。








■ライブ、イベント等々で良かったもの
大友良英 ENSEMBLES 09に関わる一連のライヴ、展示やイヴェント。
最近の音楽をめぐる環境というか、音楽の聴かれ方について個人的に感じていた違和感と同様のことを大友さんも表明しており、
その違和感を作品の形で表現し批評する様に激しく共感した。数多くの特殊コンサートで全く新しい聴取体験をもたらしてくれた。
これらはもはやCD化不能であり、実際に足を運んで現場に赴かないと何が起きているのか分からない。
TwitterやUstreamなどで、ライヴ感やリアルタイム感の疑似体験が容易に出来るようになった今だからこそ、
ENSEMBLES 09のように、ライヴや聴取のあり方を模索するのは、とても自然というか必然的に思える。

※石井補記 :ENSEMBLEの一環である「休符だらけの音楽装置」@旧練成中学校 の石井の感想はこちら 





■音楽以外で良かったもの
良かった映画ベスト1
今年はあまり映画を見ていないので、1作のみ挙げる。

・ウルトラミラクルラブストーリー
 サントラのみならず、映画自体も本当に素晴らしかった。
 シナリオの不可解さ、演技や動きのダイナミズムなど、これぞ映画ならではの表現、と思わせるに足る内容だった。








■2009年はどんな年?
ベタな振り返りだが、訃報の多い年だった。
特に、加藤和彦と、アルゼンチン生まれブラジル在住のパーカッショニストRamiro Musottoの死が個人的にショックだった。










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