おれ的わたし的2012ベスト


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ももんが

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2012年にリリースされた音楽で、良かったものベスト10

小埜涼子 / Undine
わすれろ草 / みみくりげ
ばきりノす / まほろば山の唄うたい
グラタンカーニバル / CD-Rのグラタンカーニバルその2
木村文彦 / キリーク
Tomato n' Pine / PS4U
Orquesta Sudamerica / Union Alta
アントニオ・ロウレイロ / ソー
フライング・ロータス / アンティル・ザ・クワイエット・カムズ
Traxman / The Shape of JUKE to Come


●小埜涼子 / Undine
名古屋のサックス奏者・小埜涼子さんのソロ作は、フランク・ザッパを思わせる自作曲、スティーヴ・ライヒのカヴァー、そして、サックス多重録音と吉田達也さんのドラムによる「タルカス」の凄まじいカヴァーなど、溢れんばかりのアイディアと熱い(そしてユーモラスな)演奏の集積!何より僕には、不思議な感触のある“ポップ”に聴こえました。参考までに、吉田達也さんとのデュオ、サックスルインズの動画を。
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●わすれろ草 / みみくりげ
このアンサンブルは何なのだろう?名古屋と姫路の混成グループ、わすれろ草のアルバムを聴いたときに思ったのはそんなこと。不思議な形をしたモビールの様に、バラバラになって宙を漂うような、それでも奇妙なバランスで愛おしい形にまとまっているような。
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●ばきりノす / まほろば山の唄うたい
関西の女子二人組、ばきりノすの7年ぶり新作は、基本は二人の声のみ、それに若干のフィールド音が交わる、童謡の様なトラッドのような、歌もののようなアンビエント・ミュージックのような。聴き手の受け取り方が、聴く場所や時間によって、いかようにも変幻自在になりそうな音楽。現在のところ、彼女たちのWEB( http://www.bakirinosu.net/ )とライヴ会場でのみ購入可。
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グラタンカーニバル / CD-Rのグラタンカーニバルその2
音遊びの会にも参加しているサックス奏者・光永惟行さんのソロ・ユニットであるグラタンカーニバル。タイトルどおりのCD-R。古き良き時代のフォークを思わせる、しかしそこから微妙にズレてゆくような、懐かしいと見せかけて実は一度も見たことがない風景かもしれないという、不思議なイマジネーションを沸き立たせてくれる楽曲群。サックスも勿論良いけど、本人の歌声やギターの音も良いなあ。CD-Rなのに、この声や楽器の響き方は、とても好き。
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●木村文彦 / キリーク
こちらも関西で活動している打楽器奏者・木村文彦さんの初作は、ドラムから現在のスタイル、キットを解体し台所用品から何かの材料(?)に至るまでを所狭しと並べて演奏する今の形態にシフトしてからの記録。それらが単なる打楽器というだけでなく、不思議なハーモニー、異なる音同士が合わさることで新しい意味での“和音”を作り出しているようにさえ聴こえるのが素晴らしい。
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●Tomato n' Pine / PS4U
年末ギリギリになって急遽入れ込んだ“トマパイ”ことTomato n' Pineは、曲の良さ以上に惹かれたのは音像。一定のビートの上で、歌声を始め様々な音が緩やかに絡まりながら進んでゆく感触は、ある意味ではダブ的に聴こえたし、『文科系のためのヒップホップ入門』で「トータスよりもドクター・ドレの方が“究極の音響系”だ」と言われていたのに倣って言えば、アイドル・ポップスという形での“究極の音響系”じゃないか?とも思いました。 YouTube
●Orquesta Sudamerica / Union Alta
厳密に言えば11年度作だけど、是非とも今年のベストに入れたかった、アルゼンチンのノラ・サルモリア率いるOrquesta Sudamericaのアルバムは音のおもちゃ箱。色々な音が鳴ってるのが楽しい!そんな、音楽の原初的な魅力を感じさせてくれた盤でもあります。
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●アントニオ・ロウレイロ / ソー
僕がアントニオ・ロウレイロを聴いていて思い浮かべるのは、ブラジルという以上に、1980年代の鈴木さえ子さんや、ムーンドッグ。そのような音が何故、今のブラジルやアルゼンチンから出てくるのか?という興味も含め、これからの可能性に期待します。
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●フライング・ロータス / アンティル・ザ・クワイエット・カムズ
フライング・ロータスは今までピンと来なかったけど、このアルバムにはハマりました。モロッコのグナワのように聴こえるビートの中に、ロバート・ワイアットを思わせる歌ものが一瞬出てきたり。
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●Traxman / The Shape of JUKE to Come
TraxmanはMIX-CDR。ぶっ壊れたビートの上で、ジャズからアシッド・ハウスまで様々なブラック・ダンス・ミュージックの断片が走馬灯のように現れては消えてゆく。その感じが、ジューク(シカゴ産の新型ダンス・ミュージック)云々以上に好きでした。
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次点は、谷山浩子×ROLLY、パスカルズ、Valeria Lobao、GREAT3、角松敏生、Puente Celeste、oono yuuki、パティ・スミス、ポール・ブキャナン、岡田徹、武川雅寛、白井良明、あがた森魚『女と男のいる舗道』、など。












2012年以前にリリースされた作品で、よく聴いた音楽

Francesca Ancarola,Carlos Aguirre / Arrullos
ニッポンジャズ水滸伝
続・続々カワチモンド
トニーニョ・オルタ / テーラ・ドス・パッサロス
冨田勲 / 月の光 ULTIMATE EDITION
Francis Bebey / African Electronic Music 1975-1982
佐藤博 / タイム
宇野誠一郎 / 劇団飛行船の音楽
Spinetta / Tester de Violencia
ドキュメント日本の放浪芸


●今年最もよく聴いたアルバムは、チリの女性歌手フランチェスカ・アンカローレとカルロス・アギーレのピアノによる、シンプルなデュオ。2008年度作。歌とピアノだけのシンプルな、そして大らかに広がってゆく感触が好きでした。
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●『ニッポンジャズ水滸伝』『続・続々カワチモンド』のような“失われた日本音楽史”に光を当てた編集盤が出たのは、まさしく快挙!
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●ブラジルもの再発ではジルベルト・ジルやエルメート・パスコアルのような強力なものもありましたが、ここではトニーニョ・オルタの初作を。想定外の所から降り注いでくるギターや歌には本当に驚かされました。
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●冨田勲さんの名作の完全版。何も言えません。ただ“音そのもの”を浴びるのみ。
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●フランシス・ベベイは・・・これはもう、ヤラれた人が多数いると思うので、僕ごときが今更何を言っても、でしょうけど。しかしこのシンセの強力さ! YouTube
●急逝された佐藤博さんの旧作、タワレコ限定で再発された中では、僕はこのアルバムでの演奏が好き。メロウで、ニューオーリンズ色全開なファンキーさもこなれてるし、特にシンセやヴォコーダーの使い方に、独特の粘っこさがあって。
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●「ムーミン」「ふしぎなメルモ」「ひょっこりひょうだん島」「悟空の大冒険」等の音楽を手掛けた宇野誠一郎は大好きな作曲家で、井上ひさしと組んだ『こまつ座の音楽』も素晴らしいけれど、神戸の劇団<飛行船>のために手掛けたこの音楽もまた素晴らしい。“演劇”という枠があるからこそ、通常のポップソングとは異なる自由さを存分に発揮しているように思えて。
●スピネッタが亡くなって、彼の作品群を聴き直したり新たに買い揃えたりした中で、特に印象が強かったのが『Tester De Violencia』。モノ・フォンタナによる、時に現代音楽を思わせるシンセのオーケストレーションと、スピネッタの線が細い、しかし鋭く突っかかる歌声との、奇妙なコンビネーション。北米でアンビシャス・ラヴァーズが先鋭的な活動を繰り広げていた頃に、南米でこのような作品が作られていたとは!
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●小沢昭一さんが亡くなって超久々に引っ張り出した『日本の放浪芸』、正直言うと全部聴き通したわけではなく拾い聴きですが、それでも今はまた別の聴き方が出来て楽しい。採集した芸の数々を単に並べるのではなく、自身のナレーションを重ねたり、時にはわざと回転数を早めてみたり。コンピ盤ではなく、どうしたって“小沢昭一の作品”になってる。ハリー・スミスではなく、ディック・エル・デマシアド?
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今年のこの1曲
岡田徹 / そして船は行くだろう(with あがた森魚)
七尾旅人 / サーカスナイト
青葉市子 / 奇跡はいつでも
ショコラ&アキト / One
福岡史朗&フリル / たまさかの町

これらの曲については、特に強いなれそめがあったというわけでもなく、「気がついたら、なんとなく、そばにいてくれた」という感じです。













ライブ、イベント等々で良かったもの
PRAED(10月・大阪 コモンカフェ)
マレウレウ(3月・大阪 シャングリラ)
ひきたま&ドゥンドゥンサラサ(10月・大阪 グロッタ・デ・アモーレ)
Pet Bottole Ningen(1月・神戸 BIG APPLE)
ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート(5月・大阪 ビルボード大阪)
音遊びの会(11月・神戸 ダンスボックス)
青葉市子&内橋和久(7月・神戸 旧グッゲンハイム邸)
ゑでぃまぁこん(12月・神戸 旧グッゲンハイム邸)
Into The Air(11月・神戸 BIG APPLE)
プラザ・デ・フエンテ(11月・大阪 KUSHITARO)

●スイス人のパド・コンカと、レバノン人のラエド・ヤシンのデュオ、PRAED。以前観たときはクラリネットとコントラバスを使った即興でしたが、今回は・・・クラリネット他と、ラップトップで演奏されるアラブ歌謡に合わせて歌い踊るカラオケショウ・・・しかしそれがハチャメチャで楽しかった!演奏技術の高度さとユーモアに満ちあふれた最高のエンタテインメント。常に手許に『GLOCAL BEATS』を置いている方々にも観ていただきたかったな。参考までに、スイスでのライヴ映像を。
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●ひきたま&ドゥンドゥンサラサは、カリンバやコラで弾き語る大阪の女性シンガー、ひきたまさんを中心としたバンド。メンバーの一人が海外移住(大阪市の瓦礫受け入れのため)するのに伴う活動休止前のライヴ、大阪と神戸で行われたうち僕は大阪の方に行けたのだけど、演奏のテンションの高さはもちろん、洞窟を模したような会場(普段は、ホテル地下のレストラン)の独特の音響が、打楽器群の響きをまろやかにしていた様に思いました。アンコールでの、バグパイプが先導し、コントラバスが爆走し、打楽器群が乱打される中、凛として歌われた「平和に生きる権利」は間違いなく今年のハイライトのひとつ!
●今年新しく知った中では、ニューヨークからやって来たペットボトル人間。ギター、サックス、ドラムの編成で繰り広げられる鋭角的な音・・・となると、僕なぞはやっぱり“NO NEW YORK”を連想してしまうのですが、それとはまた異なる形でのエッジの鋭さを感じられたのが気持ちよかったです。
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●プラザ・デ・フエンテ(泉の広場タンゴ楽団
YouTube )、ピアノの島田篤さん在籍最後のライヴは、ライヴスペースがある大阪の串かつ屋。素人耳にも難易度が高いのが分る楽曲群が、気取らない場所で、時間も早めのためか子供連れも含むお客さんたちの前で自由に演奏される空気は、本当に素敵だったな。
















2012年にふれて良かったもの:その他

【ジャケットのアートワーク】

ばきりノす / まほろば山の唄うたい
●プラスチックのケースに、美麗なイラストが描かれた歌詞カード5枚、そしてCD本体は折り紙で包まれていて・・・まさに手工芸!普通の流通に乗せられないの、分ります。



【DVD】

Puente Celeste / En Vivo en Cafe Vinilo
●CDとDVDの2枚組。もちろんCDも良かったけど、メンバーの日常がインタールード的に挟みこまれている流れが、不思議なドキュメンタリー映画みたいで好きでした。



【映画】

スケッチ・オブ・ミャーク
サウダージ
夢売るふたり



【本】

吉田秋生 / 海町Diary
磯部涼・編著 / 踊ってはいけない国、日本

●幾つか読んだ本の中で、今の自分に一番しっくり来たのが、何故か『海町Diary』でした。何故かは深く考えていませんが。
●『踊ってはいけない国、日本』は、単に風営法問題のみに留まらない、優れた日本論でもあると思います。

















自己紹介
宝塚在住の会社員です。実家は倉敷。











2012年はどんな年?
私的に精神的・身体的にも参ることが多く、余裕も無かったし、自分の生活そのものも考え直さなければならない年でした。
“少ない生き方”を初めて本気で考え出した年、と言えるかもしれません。














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