おれ的わたし的2012ベスト


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楓屋

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2012年にリリースされた音楽で、良かったものベスト10

特賞:Me and Cassity /Appearances
ドイツのアングラ・ポップ界におけるヒーローと言わしめるこの人物に、恥ずかしながら、今年初めて出逢いました。本当に最高でした。こんなに私好みのアーティストと巡り合ったのは何年振りでしょうか。彼の紹介をしたかったがために、この企画に寄稿させて頂いたようなものです。Me and Cassityはドイツの片田舎に住む、Dirk Darmstaedter(ダーク・ダルムシュテッター)によるプロジェクトです。彼の個人名義やバンド名義でリリースされた作品は計16枚、活動年数は24年にも及びます。彼はyoutubeでよく見る、やたらギターが上手で、買ってきたカメラで自分の映像動画を投稿しちゃうようなオッサンです。自宅にスタジオを作り、ES-335から12弦ギターまで爽快に弾き倒すその様子は、少年のように瑞々しいです。そういうオッサンが、実は抜群のメロディ・メイカーであるというのが堪りません。決して鮮烈な脚光を浴びることのないインディー・シーンで、普通のポップスを普通にやることが、これだけ気持ち良いなんて!同時に私は怒りました。youtubeでのPVの再生回数は、各曲平均して、当時たったの700回程度。これだけスタンダードなポップスを長年育んで来た人物が、世間で余りにも認知されていないことに焦りを覚えました。ですので、ぜひ名前だけでも覚えて頂きたいんです!


このPVの何とも言えないクサさ!(しかしながらグッド・ミュージック!)
今年リリースされた作品からの抜粋です。




1.Celer /Without Retrospect, The Morning
 今回はアートワークが綺麗だなぁ、という感想しか出てこないくらい好きです。
 何十枚アルバムを出しても、やっていることは全部同じで全部良いに決まっているんです。
 だから最近はしっかり聴き込んだりしていません。
 それでも圧倒的に一番好きだし、自分のプロジェクトにおいても一番影響を受けている、ドローン/アブストラクト系のソロ・プロジェクト(かつては夫婦ユニットでした)。

2.Kyle Bobby Dunn /Bring Me The Head of Kyle Bobby Dunn
 ブログでこのアルバムを紹介した時に、たまたま私事で辛いことが重なっていたのですが、
 「このアルバム、凄く良かったです。教えてくれてありがとう」
 とのコメントを頂いて、本当に救われました。こちらこそありがとうございました。冥利に尽きます。
 今年一番聴いたアルバムです。毒にも薬にもならない催眠的なドローンが140分続くだけです。
 静穏的なアンビエント/ドローンが好きな方には、強く強くおすすめします。間違い無く今年一番の名盤です。

3.Naim Amor /Dansons
 彼の使用するグレッチのフルアコがべらぼうにメロウなトーンを奏でてくれるので、私も思わずセミアコを引っ張り出してしまいました。
 フェンダーのツインリヴァーブに繋げてトーンを絞ったりして。
 何ともいかがわしいパリジャンによる、眠たげで陽気で軽快な、南国リゾート風フレンチポップ。
 遠い潮風に想いを馳せる映画のワンシーンみたいで素敵です。

4.Fingers In The Noise /Sounds From The Moon
 この作品を聴きながら野菜をざくざく切っていたら、うとうとしていて指を切りました。
 あまり聴かないミニマル/ダブ/フロア・ユースの作品の中では、ダントツで2012年ベストでした。
 去年はTychoの『Dive』という作品にハマりましたが、今年はこれです。
 清涼感細やかな音がころころ転がって、炭酸ジュースみたいで大好きです。

5.Sun Kil Moon /Among The Leaves
 前作のノスタルジーが余りにも強烈過ぎて、「何だ、今回は大したことないじゃん」と強がっていました。
 通り魔的に突き刺して去って行った前作と比べ、今作では2枚組のスケールでじわじわと嬲られました。

6.Seahawks /Aquadisco
 バレアリックでコズミックで、80年代の怪しいSFとかAORとかを彷彿とさせる、ダサくもクールなシンセのトーンがたまりません。
 リリースされたのが秋でしたので、もう一度、真夏の熱帯夜に一人で聴きたいです。

7.Salim Nourallah /Hit Parade
 このアーティストも、ぜひ、多くの方に覚えて頂きたいです。サリム・ノウララーと読みます。ノウララー・ブラザーズの弟によるソロ・プロジェクトです。
 初夏までは毎日聴いていました。ピッチフォークで一蹴されているのを知った時は、半日ふてくされていました。
 クラシカルなロケンロー、ポスト・パンク、サイケ、ローファイ・ポップまで、長いキャリアにおける集大成的な作品です。

8.Josh Varnedore /Sun Chapter
 今年一番の美しいフィードバック・ノイズを鳴らしてくれたで賞を授けたいです。
 アンビエント/ドローン界隈で、エンジニアやプロデューサー、レーベルオーナーとしての手腕を発揮しているTaylor Deupreeのファミリーです。
 EPにはまったく惹かれませんでしたが、この1stアルバムは化けました。Taylor DeupreeよりTaylor Deupreeしています。
 黄金色の壮大なシンセ・ドローンがとにかく気持ち良いです。

9.Chromatics /Kill For Love
 Chromatics流チル・ウェイブ、凄く良かったです。
 ドリーミーすぎず、過度に情報が多くなく、ほどほどにダサく、ディスコ・ミュージックまでレイドバックせず、昼間から居間で流してくるくる回っていました。








□次点として

Guillermo Rizzotto /Solo guitarra
James Blackshaw /Love Is The Plan, The Plan Is Death
Simon Scott /Below Sea Level
The Horse Loom /The Horse Loom
Chihei Hatakeyama /Norma
Taylor Deupree /Faint
Pinback /Information Retrieved
Woods /Bend Beyond
Nils Frahm /Screws

この中でもとりわけオススメであるGuillermo Rizzotto(ギジェルモ・リソット)の作品は、厳密には今年のリリースでないため、泣く泣くベスト10から外しました。アルゼンチン・フォルクローレという伝統音楽に根差した、極めて内省的で美しいソロ・ギター集です。聴いただけでぱっとカラフルな情景が浮かんでくるようなソロ・ギターとか、いわゆる“キレイ目”の音響系アンビエントやドローンとか、ローファイなインディー・ポップとか、ポスト・クラシカルとか、私の中の大まかなトレンドが縮図として浮かび上がっています。
どの作品も素晴らしいのですが、「この前出したアルバムの方が好きだったかなぁ」と、相対的に比較をして、結果的に聴き劣りしてしまったものが多いと感じます。WoodsとChihei Hatakeyamaさんは正にそれです。










2012年以前にリリースされた作品で、よく聴いた音楽

Gary Marks /Upon Oanda’s Wing
Niteflyte /Niteflyte














今年のこの1曲
Dirk Darmstaedter /We Beat The Drum

Me And Cassity /Misunderstood


Me And Cassity /Smoke


いずれもDirk Darmstaedter関連の楽曲です。少しでも興味を持って頂けると、本当に嬉しいです!












ライブ、イベント等々で良かったもの
今年は体調不良と多忙のため、ライブやイベントにはほとんど参加することが出来ませんでした。










音楽以外のベスト10
1.静岡県にある秘境駅、奥大井湖上駅へ行きました。死ぬまでに訪れたかった念願の無人駅です。
2.蚤の市で、23eさんというヴィンテージの衣類を取り扱うお店と出会いました。フランス製の洒落たネクタイが2000円、最高でした。また行きます。










自己紹介
MANGROVERSという名前で、環境音を録音しています。ブログでは、アンビエント/ドローン/ノンビート辺りの新作を紹介しています。
ベルリンのインディーロックと日本酒が好き。相方が可愛い。










2012年はどんな年?
愛と平和。













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