おれ的わたし的2010ベスト


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エリカワ
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2010年にリリースされた音楽で、良かったものベスト10 

Mio Matsuda / Flor Criolla
 2010年はこのアルバムで始まった。豊かな音楽性を持つ三人が、それぞれの個性を存分に発揮しつつ奇跡的に調和。
 人々の歴史がそうであるかのように、音楽もまた混淆し、種が蒔かれ、その地の土で育まれ、花となる。そんなスケールの大きさを一瞬にして感じさせるのだから、本当に凄いアルバムだ。

Sergio Santos / Litoral E Interior
 ミナスのSSW、セルジオ・サントスが室内楽的な編成にて作り上げた、確固たる美意識に貫かれた作品。アンドレ・メーマリが参加。
 アルゼンチン・ブームともシンクロして話題に。雨や水を感じさせても常に太陽を感じるあたりがブラジルならでは。聴いていて素直に気持ちいい。

Fally Ipupa / Arsenal De Belles Melodies
 今年の夏はリンガラだけが体に馴染んだ。異常なまでの暑さは人の音楽の趣味まで変えるのか?
 このファリイ・イプパは、大阪のレコード屋バオバブで店員さんに今の旬を聞いて購入したもの。
 流行はスロー・ルンバらしく、暴力的なダンス・チューンはないものの、甘いバラード、現代らしいレゲトン風の曲など、下世話さが夏に最適だった。

Sierra Leone Refugee All Stars / Rise & Shine
 シエラ・レオネの難民キャンプで結成されたバンド2010最新作。格段にバネが違うのだよねえ。一曲だけ収録されたルンバM7は今年のDJ定番曲。

Orquesta De Musica Sudamericana / Orquesta De Musica Sudamericana
 アルゼンチンのエルメート・パスコアール。南米のフォルクローレを再解釈する女流作曲家/ピアニスト、ノラ・サルモリアが南米音楽オーケストラ名義でリリースした作品。
 エキセントリックで小難しい人かと思ってたけど実は凄くポップ。そのせいもあってかなんだかんだでよく聴いたし、彼女の作品はどれもたくさん売れた。

Hugo Fattoruso Y Rey Tambor / Puro Sentimiento
 ウーゴが近年もっとも力を入れている彼のカンドンベ・グループ、レイ・タンボールとの3rdアルバム。
 クラブ/ジャズ/辺境好きなども巻き込んで南米音楽ファン以外にも話題になった。今年珍屋のナギラさんと開催した試聴会の中でも、個人的に最も面白かったのがこのウーゴ・ファトルーソ。
 手売りの最新作「Acorde On」も良かったけど、やっぱりウーゴはピアノが圧倒的!!既に録音を終えているらしいドス・オリエンタレスの新作が楽しみで仕方ない。

Ensamble Gurrufio / Sessoes Com Hamilton De Holanda
 ヴェネズエラの超絶セッション集団とブラジルのバンドリン奏者による共作アルバム。
 サルサ以外縁のなかったヴェネズエラだが、何度かライブを見て、そしてこの作品を聴いてヴェネズエラ音楽の凄さに魅了された。
 一瞬たりとも気の抜けない丁々発止のやり取りと、抜群のスウィングは理屈抜きに楽しい。

Los Guardianes De La Musica Criolla / La Gran Reunion
 静かなブーム?ペルーの海岸近くで演奏されるクリオージョ音楽の知られざるベテラン達が集結した、ペルー版「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。
 古きよき時代の味わい深いベテランによるペルーの海洋系音楽。おっさん臭い音楽は相変わらず好きだなあ。

Emilio Morales / Con Cierto Tumbao
 様々なビッグ・アーティストのサポートやフラン・エミリオ・トリビュート・アルバムへの参加などで、一部のキューバ音楽通には知られていたピアニスト。
 初のソロ・アルバム。上手すぎてもはや機械的とすらいえるチューチョ・ヴァルデスと違って、古きよきキューバン・ジャズのエレガンスを感じさせるこの作品には心底魅了された。
 リラックスした雰囲気の中にも音の端々からキューバ音楽の粋が濃厚に感じられる。

Chico Pinheiro / There's A Storm Inside
 ジャズの世界でも評価の高いブラジル人ギタリスト、シコ・ピニェイロの最新作。→NYを中心に活動するブラジル人セッション・ミュージシャンが集った作品。
 とりわけ新しいことは何一つないのだが、ブラジル人らしい有無を言わせぬグルーヴとスピードは超一級品。








2010年にリリースされた作品以外で、よく聴いた音楽


Zeca Pagodinho / Perolas
 ブラジル音楽界の加山雄三ことゼカのベスト盤。この人の強烈な酔っ払いヴォーカルは癖になるなあ。

Elza Soares / Pilao + Raca = Elza
 Tapecar時代の名作が単体CDリイシュー。盛り上がってレコードでゲットした。この人のヴォーカルも凄い。

Hamilton De Holanda & Andre Mehmari / Continua Amizade
 数あるブラジル音楽インスト・デュオ作品のなかでも一番好き。2011年はこのコンビでエルメート&ジスモンチ曲集をリリース予定。

Chico Saraiva / Saraivada
 メーマリやセルジオ・サントスらと並ぶSSW。年末になってハマリました。歌もの「Tregua」もいいけど、独特極まる作曲センスを十分堪能できるコレを。

Maria De Fatima / Bahia Com 'H'
Hugo Fattoruso / Homework
 ウーゴも試聴会を開催するために聴き込みました。独特なセンスを発揮するシンセ使いが楽しめるこの2枚はウーゴの「裏定番」。こういうアプローチでマテオ曲集作ってくれないかなあ。

Pippo Spera / Alguien, Someone
 Lion Productionから70年代の作品もリイシューされたウルグアイ・ロックのSSWピッポ・スペラ。
 本作は詳細不明だがおそらく90年代から00年代あたりで制作されたであろう比較的新しい音源集。
 ミナスより更にディープな感覚は聴けば聴くほどズブズブとはまっていった。マテオ、ウーゴ、ウルバーノ・モラエスがゲスト参加。

Oscar Aviles & Arturo Zambo Cavero / El Chaconbo
 チャブーカの再発よりも強烈な印象を残してくれたのがコレ。チャブーカと同じペルーの海洋系音楽に端を発しながらも、よりエグ味の強いトグロを巻くようなグルーヴ。

Franco & Sam Mangwana / Cooperation - The Very Best Of Vol.2
 リンガラ史に残る名演「Cooperation」を収めたベスト盤。









今年のこの1曲
2010年はこの人達に心を鷲掴みにされてしまいました。ウーゴ&美緒は兄妹みたいなコンビだと思う。



異常な暑さにもしっくりきたのがリンガラ。例年以上に聴きました。上にも載せたフランコ&サム・マングワナの名演。










ライブ、イベント等々で良かったもの
ライブ
Flor Criolla(松田美緒、ヤヒロトモヒロ、ウーゴ・ファトルーソ)
松田美緒&ラチニーザ・ジャポネース(松田美緒、鬼怒無月、佐野篤、ヤヒロトモヒロ)
Hermeto Pascoal & Grupo
ノボス・ナニワーノス
Staff Benda Bilili
Carlos Aguirre
Toninho Horta
Dos Orientales(ウーゴ・ファトルーソ、ヤヒロ・トモヒロ)
Trans Criolla凱旋LIVE(松田美緒、ヤヒロトモヒロ、ウーゴ・ファトルーソ+レイ・タンボール、フランチェスカ・アンカローラ)

イベント

映画「シャミ・ジェンチ」鑑賞会+トークショー
映画「ベンダ・ビリリ!もう一つのキンシャサの奇跡」









音楽以外でのベスト10
>黒澤明
 大きなテレビで黒澤作品を片っ端から見直し中。あまりの凄さに泣いている。三船敏郎を筆頭に役者にも圧倒されっぱなし。
>ワールドカップ
 スペイン代表の優勝。昔から大好きだったイニエスタが大活躍してくれたのも嬉しかった。
 ブラジルは個の強さと、それを更に強化する組織を確立。
 モダンなフットボールで圧倒的な強さを見せたにも関わらず、精神的な弱さで準々決勝敗退。
 残念だったが、マイコンの素晴らしさは強く心に残った。
 直前になって理想を捨て、日本人選手の長所を活かした合理的フットボールで見事グループリーグを突破した日本代表にも絶叫!








自己紹介
ラテン、ブラジルを中心とするワールドミュージック専門店で働いています。
 http://blog-shinjuku-latin.diskunion.net/

毎月第三日曜日には渋谷のBarBlenblenblenでブラジルの新譜をまったり聴くイベントを開催。
気が向いたらふらっと遊びに来てください。
 http://blog-shinjuku-latin.diskunion.net/Entry/985/

Twitter @yusukerikawa
 放置気味ですいません。








2010年はどんな年?
昨年から引き続きアルゼンチン、ウルグアイものへの興味は尽きなかったが、
こうして振り返ると、入れ込んでいるのは意外にもブラジルのミュージシャンが多い。
ブラジル音楽の凄さは、やっぱり底知れない。
ミュージシャンやレーベルといった制作側の知り合いが増えた結果
ただでさえ偏屈な趣味が更に偏ってしまった点は反省。
影響を受けやすい性格には、良し悪しあり。

また渋谷のBarBlenblenblenで毎月定例イベントとしてブラジル新譜試聴会をスタート。
珍屋ナギラ氏との試聴会開催、BarBuenosAiresでのDJなど、様々なオファーを頂いた。
気力・才能に溢れる素晴らしい方々に囲まれ、支えられたことが全てと言っていい。
大きな感謝をここに表明したい。

今年も花を咲かせつつ、種を蒔き、水をやろうと思う。









エリカワさん今年もありがとうございます!
「ワールド」って、本当は世界の音楽の大半なんすよね。不況だろうが何だろうが世界中で音は鳴り続けていて
新宿ユニオンはそれを楽しく垣間見れる良いお店。本当に。 新宿が疎遠になってしまってあまり行けてないけど....
「ペルーのブエナビスタ」のやつ、4枚くらい出てるよね。今度買いに行きますよ。あとフランコはずっと気になっているのにまだ聴けてないんすよねー。
Blenblenblenでの試聴会は去年行った最も楽しかったパーティのひとつでした。




2009


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