おれ的わたし的2009ベスト


■お名前
成田佳洋(NRT/Samba-Nova)
 www.nrt.jp






2009年にリリースされた音楽で 良かったものベスト10

例年どおり“ALL GENRE”と“BRASIL”で5枚づつ。
選盤、順位はこちらのサイト用にカスタマイズしたオススメ順です。
blog Samba-Nova(www.nrt.jp/blog)でコメント全文掲載予定なので、そちらもぜひ!

B1. Caetano Veloso /Zii e Zie
B2. V.A. /O Baile Do Simonal
B3. Egberto Gismonti /Saudacoes
B4. Ana Costa /Novos Alvos
B5. Marisa Monte /Infinito Ao Meu Redor

A1. V.A. /DARK WAS THE NIGHT
A2. 坂本龍一 /OUT OF THE NOISE
A3. MOCKY /SASKAMODIE
A4. MAXWELL /BLACK SUMMERS' NIGHT
A5. CHAIRLIFT /DOES YOU INSPIRE YOU

B1:
 ピクシーズがサンバをやったようなアルバム(いや本当に)。
 素をさらけ出したカエターノも魅力的だけれど、ギターのペドロ・サーを中心としたバンドがなんともスリリングで、ロックにおける3ピース・サウンドの歴史を塗り替える斬新さ。

B2:
 1960-70年代に活躍した“サンバ・ソウル・エンターテイナー”、ウィルソン・シモナルのトリビュート・ライヴ・アルバム。
 サンバを消化したリズム・アレンジに、優れたソウル・ミュージックだけが持つ、圧倒的にポジティヴなヴァイブが流れてます。

B3:
 持論では「現代コンテンポラリー・シーン最高の作曲家」にして、同時にアルゼンチンでいうところのアストル・ピアソラに匹敵する存在。
 キューバの女性のみによる弦楽オーケストラ「Camerata Romeu」が演奏したディスク
 1と、実の息子アレシャンドリ・ジスモンチとのギター・デュオによるディスク2からなる2枚組。

B4:
 あくまで自然体、等身大の女性の心情を歌いながら、本物のサンバだけが持つポエジーをものした傑作2ndアルバム。
 何よりまず優れた楽曲揃いで、歌声から伝わるたたずまいが美しい、というシンガーソングライター作品に求められる魅力がしっかり備わっている。
 加えて、リオの空気、カリオカの生活感が、アルバム全体を通して鮮やかに伝わってくる。音響的にも新味があって眩いなあ。

B5:
 最新ライブDVD+CD。
 2006年に発表された2枚のアルバム『私の中の無限』(通称:ポップ盤)、『私のまわりの宇宙』(通称:サンバ盤)のレパートリーが中心で、
 特に前者は、マイ・ブラディ・ヴァレンタイン『Loveless』以来の革命的ポップ・レコードだと思っている。それをライヴで再現しているのだからつまらないはずがない。

A1:
 09年はよく言われるように、いわゆる“ブルックリン勢”を軸に、カナダを含めた北米(って広いけど…)のオルタナティヴが面白かった。
 エイズ・チャリティの名物シリーズ最新作は久々にこの界隈のアーティストがメインで、ダーティー・プロジェクターズ(+デヴィッド・バーン)に、
 ファイスト2曲(それぞれGrizzly Bear, Ben Gibbardとの共演)、クロノス・クァルテット、キャット・パワー&ザ・ダーティー・デルタ・ブルーズ、スフィアン・スティーヴンス、etc, etc...
 といつもながら聴きどころ満載。サウンドはどれも地味で荒涼としてるけど、その反面、生きた人間のぬくもりが伝わる歌声の持ち主ばかりで、
 全体に一貫して流れるロードムーヴィー的なストーリー性にも大いにはまった。

A2:
 正直なところ、これまであまり興味が持てないアーティストで、お勉強的に5枚ぐらい聴いたアルバムも全くピンとこなかった。
 執拗なまでのメディア戦略も、よからぬイメージを増幅させてきた気がするのだけれど、これは掛け値なしに素晴らしい一枚。
 現代音楽、環境音楽、ミュージック・コンクレート、エレクトロニカ、、、といったバックボーンで語れる音楽には違いないけれど、
 全然そんな言葉じゃ伝わらない奥行き、音の出どころの深さが感じられる。スピーカーやヘッドフォンから、こんな根源的な音を鳴らせるのか、という驚き。

A3:
 ファイスト、ゴンザレス、そしてこのモッキーに、近頃もっとも「フレッシュさ」を感じる。これも60'sモータウン的な希望に溢れたレコード。

A4:
 7年ぶりのアルバム、それも相変わらずの生音ニュー・ソウル志向でビルボード初登場1位なんて、どこまでセックス・シンボルなんだ。

A5:
 iPod nanoのCMに抜擢された、これもブルックリン発のスリーピースバンド。
 何がそんなにいいのと問われれば言葉につまるが、表面的にnew waveをなぞったサウンドが溢れかえる現行シーンにあって、この切実な徒花感は貴重かも。
 荒削りだけど、楽曲も曲想もなかなか。フレンチ・ポップ的ないなたさもキュート(vo.はフランス系らしく、仏語曲もある)。










2009年にリリースされた作品以外で、よく聴いた音楽
引き続きヴィラ=ロボス(チリじゃなくてブラジルのほうです、念のため)。
元々持っている40枚のCDに加え、今年から加入したナクソス・ミュージック・ライブラリー(http://ml.naxos.jp/)で130タイトル分聴いた。
さすがにいい演奏は限られる、ということを理解した。
史上初と言われる「ブラジル風バッハ」全曲演奏会にも行ったけど、コンサート当日の早朝に次男が出産、一睡もせず駆けつけたため、ほとんど記憶にない。








ライブ、イベント等々で良かったもの
Gil Scott-Heron @SOB's(NY)
Egberto Gismonti 2days@すみだトリフォニーホール
Paula Lima 2days @DUO Music Exchange
Renato Motha & Patricia Lobato 日本公演の全て









音楽以外でのベスト10

案内したい鎌倉の場所 ベスト10

1. 馬場ヶ谷
2. 朝比奈切通
3. 鎌倉中央公園
4. 大仏坂切通
5. 報国寺
6. 鎌倉山の尾根道(極楽寺〜七里ガ浜間)
7. 材木座海岸
8. 海蔵寺
9. BEAU TEMPS
10. 来迎寺近くのゲストハウス

鎌倉に移住して、気づけばもう8年。
世界遺産登録への動きも活発化しているけれど、世界の景勝地と較べると、少々スケール感が…と、正直これまでは思っていた。
けれども去年、元気を持て余す子どもたちを連れて、山へ、谷へ、海から沢を登り、道ともいえない道をかきわけ進んでいけば、あるわあるわ名所の数々。
アイルランドの自然美にも、ミナス・ジェライスの雄大な大地にも、沖縄や屋久島のパワースポットにもひけをとらない中世の名跡や繊細な自然が、
バス通りからわずか数分の場所に残されているなんて。
では今年も張り切って出かけてきまーす。









■自己紹介

NRTというレコード・レーベルを主宰しています。
音楽ライターもやっています。その他、選曲、イベント制作や海外アーティストの来日公演招聘など、音楽を紹介する仕事は何でも。








■2009年はどんな年?
番組をやらせてもらった文化放送UNIQue the RADIOの閉局、いつも作品を応援してくれた貴重な雑誌「エスクァイア」「スタジオボイス」「アテス」「流行通信」等の廃刊、
リリースの度にいくつものメディアで取り上げていただいた黒田恭一さんが亡くなったことは、なんとも寂しい出来事だった。
2010年以降に向けての仕込みも多く、あまり目立った動きは発表できなかったけど、
Renato Motha & Patricia Lobatoの来日公演招聘と、座右の一枚、アントニオ・カルロス・ジョビン『ジョビン、ヴィニシウスを歌う』の再発で、音楽への恩返しが少しはできた一年だったと思いたい。












過去投稿 2008 2007 2005 2004 2003






表紙へ

inserted by FC2 system