おれ的わたし的2008ベスト | ||
■お名前
わっきー
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・LOVEJOY /あの場所へ 穏やかで美しく、時折ほのかに熱を帯びる抑制の効いた演奏は、ここ数年聴いてきた あらゆるバンド演奏の中でも群を抜いた素晴らしさ。 そして、そこにどこまでも伸び行くbikkeのまっすぐな歌声がのっかった瞬間といったらもう!! 遠くあの場所にいるチャイナ氏にもきっと届いたはず。 ・渚にて /よすが シンプルなバンドサウンドに様々な意匠を施すという前作の音作りを継承しつつ、 キーボードに吉田正幸氏(ex羅針盤)を迎えたことによりその意匠はより深化。 今まで以上に重層的にサイケデリックな音像を構築しています。 また、歌詞に久々に"あなた"が戻ってきたことは何より印象的。 自分以外の他者が登場せず、空や木といった自然しか歌われなかった前作は完全に浮世離れしていて、 少し馴染み難いところがなくもなかったのですが、本作は幾分身近に感じられる曲が多いのがいいですね。 ・佐井好子 /タクラマカン そんな渚にての柴山氏やJOJO広重氏、山本精一氏など濃い目のメンツが参加した30年ぶりの新作。 名前だけは以前から知っていて、今回いい機会だと思って聴いてみたのですが、 これがいい意味で期待裏切られまくりの傑作でした。 サイケ(一発変換で"佐井家"と出て吹いた)だとかアシッドだとかの事前のおぼろげな思い込みが 吹っ飛ぶほどの超然とした歌声は、やや低音の思いのほか芯のしっかりした力強いもので、 前述の濃ゆいメンツをものともしない存在感。ジャズっぽかったりロックだったり アコギの弾き語りだったりノイズが混じってみたりと曲調は様々あれど、 全編通して東洋的な雰囲気で支配されており、独特の空気感を存分に醸し出しているという意味では サイケな作品と言えるかもしれません。 ・鈴木祥子 /Sweet Srenity 即興的要素を取り入れた刺激的な前作から一転、オーソドックスなSSW作品に仕上がった本作は あくまで女性の視点で描かれた歌ばかりですが、中には男の自分でも理解できなくはない心情が 描かれていたりして聴いていて興味深いですね(笑)。ニール・ヤング的フォークロックにのせて 30代という若くもなく、かといって年を重ねているというほどでもない微妙な年代独特の 焦りや悲哀が歌われる「まだ30代の女」なんかは曲調とのギャップもあってクスリと笑いながらも、 笑えないなあと思ってしまう曲だったり。いや、まあ自分はまだその年代ではないですが(ギリギリ)。 ・中島美嘉 /Voice 年齢的にも20代半ばに差し掛かり、成熟期に入った感のある本作は、アルバムタイトル通り"声"が よく聞こえる作品。打ち込みの曲が多い中、数少ないアコースティックナンバーが出色の出来ですね。 彼女の声独特の繊細で儚げな中に見せる強さを堪能できます。ただ、残念なのは既発曲がちょっと 多すぎること。タイアップものが多いせいでアルバムとしての整合性もやや欠けてしまっているように 思います。願わくば、セルフプロデュースとは言わないまでも一人プロデューサーを立てて 寄せ集めじゃないアルバムを一枚じっくり作って欲しいなあ。 ・ゆらゆら帝国 /REMIX 2005-2008 ロックとダンスミュージックの融合なんていうとイマドキ何の新鮮味もないトピックですが、クリック/ミニマルという 最近のトレンド(すでに少し古いかもしれないけど)を意識させつつ最短距離で両者を結びつけた本作のリミックスは別格。 CANなどのジャーマンロックからの影響とも言えるかもしれない『Sweet Spot』と『空洞です』の2枚のアルバムがもともと 持っていたヒプノティックなグルーヴが、クリック/ミニマル系のそれと同じベクトルであるということを、実際に再構築する ことで浮き彫りにしているのは聴いていてやはり面白いですね。しかも外注なしのセルフリミックス。 こりゃすごいと言わざるを得ない。それはそうと、「フランキー・ティアドロップ」のカバーが壮絶すぎてこわいよ! ・AYA COLLETTE & THE SETOUCHI AUTHENTICS /The Classical Album Of Collette ホントひっさびさのアメフォン関連作。確か2年ぐらい前にはすでにレコーディングを終えていたはずの作品で、 リリースするレーベルが見つからないというようなことを当時話していた記憶があります。 そんなわけでとにかく出てくれてただけでも満足(笑)。セトウチ・オーセンティックスによる汎カリブ的な リズムの数々や、裏山サンバ〜初期ボサノヴァに通じる枯れた味わいのラテンテイストは、どこか似非っぽい 怪しさを残しながらも彼女の音楽をより趣き深いものにしています。 ・LETTER /(UNTITLED) ラブクライの三沢洋紀氏による新バンドの初作。宅録なソロ作も良かったけど、肩の力が抜けた バンドサウンドでストレートなフォークロックを聴かせる本作に軍配。彼のニール・ヤング好きが 前面に出た作品ですね。一見、元ZUINOSIN、ドリルマン、ラブクライからメンバーが集まったバンドとは 思えないド直球な地に足付いた演奏は、シンプルな中にもかゆい所に手が届く心憎いアレンジや曲展開が しっかりあって、やはり一筋縄にはいかない印象。所謂、聴けば聴くほど(ry、のスルメ作品。 ・シベールの日曜日 /Sundays & Cybele 裸のラリーズっぽいバンドは今までもいくつか聴いてきましたが、"ぽい"という言葉で片付けられないほど ラリーズを強烈に意識させる函館の3人組による初作。普段のライブでは、まさにそんな轟音をかき鳴らしている そうですが、本作では『MIZUTANI』よろしく簡素なフォーク調の曲が大半を占めています。仄暗い闇から 漂ってくるような淡いサイケデリアや、時に賛美歌を思わせるほどの荘厳さを湛えた楽曲からは、70年代の アングラなロックにあった特有の危うさや孤独感が感じられて、これが本当に20代前半のバンドの2008年の作品 なのか、と心底疑いたくなりますね(笑)。唯一轟音ギターが聴ける15分の大作「めぐり逢い#1」が白眉。 ・MEGAPUSS /Surfing 今年はデヴェンドラ・バンハートの新作はないのか!?と思ってたらこんなのが出てました。 PRIESTBIRD(プリースト・バ−ド)というバンドのGREGORY ROGOVEという人との二人組のようで、ツアー回ってる バンドのメンバーと始めた突発的なユニットってことなのかなあ。他にもストロークスのドラマーやら、 カシンやドミニコといったブラジルの新世代と交流のある人が参加してるようです。内容はというと、 全裸男二人のジャケ写がすべてを物語っているように、とにかくユルい。歌ってる内容も曲によっては 相当下世話らしく、なにやら御大HIROSHI NAと同じおいが(笑)。ベルベッツのようなガレージサイケから、 ジャック・ジョンソンあたりのサーフ・ミュージックっぽいのまで、結構曲ごとの振れ幅はありますが、 フォーマットとしては今までの個人名義の作品にはないシンプルなロック作品ですね。 次点 ・SOUL FLOWER UNION /Cante Diaspora ・都市レコード /シングアゲイン ・VETIVER /Thing Of The Past ・CAT POWER /Jukebox ・LARKIN GRIMM /Parplar ・燻裕理 Meets Jack藤野 & Syota沖塩 /(UNTITLED) ・RICARDO VILLALOS /Vasco ・LSD POND /(UNTITLED) |
■2008年にリリースされた作品以外で、よく聴いた音楽 | |
・CAN /Tago-Mago ・THE VELVET UNDERGROUND /Psychedelic Sounds From The Gymnasium ・SILVER APPLES /(UNTITLED) ・THE FREAK SCENE /Psychedelic Psoul ・OTIS REDDING /Otis Blue ・佐井好子 /Live1976/79 やっぱりサイケ寄りなラインナップ。だけどそろそろサイケものは気分的にも一段落したかなあ。 THE FREAK SCENEは一番うれしい再発でした。 |
■今年のこの1曲
・ランカ・リー=中島愛 /星間飛行
・シェリル・ノーム starring May'n /ダイアモンド・クレバス
松本隆と菅野よう子という奇跡のコラボによる「星間飛行」はマクロス・フロンティア最大の功績。
やや低音の中島愛の声も個人的にツボでした。だけどボクはシェリル派です!(笑)
"私の歌を聴けぇ!"ってことでシェリルの歌も。これはこれで菅野作品としては坂本真綾の
「Tune The Rainbow」に次ぐ名曲だと思います。
■ライブ、イベント等々で良かったもの
行ったわけじゃないけど、ソウルフラワーのライブDVD『LIVE HENOKO』が最高でした。
■音楽以外でのベスト10
今年出てくれてありがとうな遅筆作家作品ベスト3
・おもいでエマノン /鶴田謙二
・攻殻機動隊1.5 HUMAN ERROR PROCESSER /士郎正宗
・イエスタデイをうたって vol.6 /冬目景
エマノンは連載決定の情報が出たときは本当に大丈夫かと心配しましたが、思ったより早く出てくれて
良かったですね(笑)。原作小説でも挿絵を担当していただけあって細かなニュアンスもすごく丁寧に
表現されていて大満足の一冊。
■自己紹介
レコ屋が激減していく今日この頃、タワレコでも何でもとにかく絶対に店で買うことは
やめないぞ、と思いを新たにする大阪人です。とか言いつつ、アマゾンもコンビニ受け取りが出来たりして
便利ですよね(汗)。いや、だけどやっぱり店でうろうろしながら見て回るのが楽しいんだい!
■2008年はどんな年?
去年のシスコに続いてってわけじゃないですが、アルケミーミュージックストアの店舗が閉店してしまったことが
音楽の話題の中では一番の記憶になってしまった年でした。決して頻繁に通う客ではありませんでしたが、
あの雑居ビルの狭い階段を登るときのワクワク感を二度と味わえないと思うとやっぱり非常に残念でなりません。
初めてマヘルの編集盤を買ったとき、いきなり今日のマヘルライブのチケットありますよ、とか言われたのに
予定があって行けなくて後悔したことや、渚にての参加しているコンピ盤を買いに行ったら、まさに柴山夫妻が
いてびっくりしたのも、今となってはいい思い出です。