おれ的わたし的2008ベスト


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とし  おかまいなしの日記  





■2008年にリリースされた音楽で、良かったものベスト10

■2008年ベスト
1. 板橋文夫オーケストラ / WE 1
2. Paul MOTIAN / LIVE At The Village Vanguard U
3. Theo Jorgensmann & Oles Brothers / Alchemia
4. スガダイロー / スガダイローの肖像
5. 平井庸一 / LENNIE'S PENNIES
6. 古澤良治郎+外山明 / DUO Live at SHIBUYA LUSH
7. 明田川荘之 / さよなら室蘭長瀬氏〜そしてエミ
8. Russ Lossing / Line Up
9. 石田幹雄 / TURKISH MAMBO
10. 山本直純 / 男はつらいよ 寅次郎音楽旅 〜寅さんの“夢”“旅”“恋”“粋”

1)→ピアノが壊れんばかりの勢いで全身で叩きつくす圧倒的な姿、そしてここぞというときに強烈に突きつけてくる感傷・叙情。
 いっさいの嘘がない音を愚直に弾き続けているからこそ、長年のあいだファンから信頼され、かつ若い新しいファンを板橋文夫は獲得しているのだ。
 板橋のそんな情熱的な音楽は、ジャズファン以外にこそ最も聴いてほしいと僕はいつも思っている。
 11人のラージ・コンボ編成による今作は彼のジャズのひとつの集大成的作品になった。

2)→ジャズのまともな新譜が採りあげられる媒体が少ないなか、ポール・モチアンや菊地雅章という超がつくほどのベテランが現在進行のジャズで最も尖がった音を出す、
 なんていってもピンとくるファンは実際少ないのかもしれない。
 しかしこのライヴ実況を聴いてしまったらそんなことは言っていられないはずだ。
 バンドを構成するメンバーは、現在、そしてこれからのジャズを担う突出した才能揃い。
 なによりもこのバンドが放つサウンドの前のめり感と、ぬるい音は絶対に出さないという緊張感は、
 またしつこい言い方になるが、ジャズファン以外の耳、若い意欲的な聴き手の感性にこそ、ダイレクトに届きそうな気がする。

3)→日本で言えば、梅津和時なんかと同じ世代になるドイツのベテラン・ジャズ・クラリネット奏者と、
 年齢的には彼の子供ぐらいの世代にあたるポーランド出身兄弟のリズム隊の、壮絶なる音楽。
 2006年のライヴ音源。
 観念的なものは全く排して、ひたすら生身の熱い肉体によるぶつかりあいがグルーヴを生み、昇天する。
 これはほんとに燃えます。日本では全く無名のOLES兄弟、この一作によって間違いなく大大注目の存在になった。

4)5)→スガと平井という新鋭の2作品は音の方向性としては両極端だが、日本のジャズへの異議申し立てという点では、ともに同じぐらいの強度・濃度を持っている。
 二階堂和美にジャックス「堕天使ロック」を唄わせたり、やばかった頃の山下洋輔をカバーしたりと、かなり意識的な挑発的行為をしかけるスガ。
 彼の、ジャズを外に開いていこうとする姿勢はとても眩しくとても頼もしい。
 そして、レニー・トリスターノというジャズのなかでもきわめてディープな領域を追求していく平井の内へ内へと向かうストイックな方法論は、
 同時に、ジャズという音楽の底なしの深さを我々に感じさせてくれる。そう、この2作品には近年稀に見る揺るがない信念がある。

6)→異形ジャズ・ドラム最強師弟によるデュオ作。楽しくてしかたがないめくるめく壮大なリズム世界。

7)→西荻窪アケタの店・オーナーにして、独立独歩の鬼才ピアニスト・アケタさんの新作。「エミ」は感涙の大名曲。

8)→ニューヨークの中堅ピアニストとベーシストによる硬派なデュオ作。古典的な美しさすら感じる。

9)→2008年に札幌から東京へ進出した新鋭ピアニストの新作。
 個人的には選曲に難を感じたが、それを差し引いてもあふれ出てくるとてつもない才能・個性に興奮。この人はほんと名前覚えといたほうがいいですよ。

10)→すんません。番外編としてこれを入れました。
 寅さん映画を愛し一度でも救われた人ならば、この音楽集を聴いてジーンとこないはずはない。「男はつらいよ」、ほんとに偉大。








■音楽以外でのベスト10

中央線ジャズ決定盤101
 僭越ながら、自分も執筆者の一人として参加させていただきました。 
 “中央線ジャズ”というマニアックなコンセプト、選ばれている盤、それぞれの書き手の主観たっぷりの文章、などなど、
 ジャズ本としても音楽本としてもかなり異彩を放っているかと思います。
 出版後それほど多くはなかったリアクションの中でも嬉しかったのが、
 「この本からはインターネットがまだなかった時代の昔の同人誌のような懐かしい匂いを感じた。
 実は今自分たちに足りないのは、こういう熱さなのではないだろうか。」という感想でした。
 そういう雰囲気はこちらの「フリーク・イン・フリーク・アウト」のベスト企画ともちょっと通ずるかもしれません、なんて勝手に思ってます。
 とにもかくにも、ここを読まれている方、ぜひご一読を!







■自己紹介

34歳、おっさん。東京都八王子市在住。2008年春に娘が生まれました。自分の顔にあまりに似すぎていますが、でも可愛いすぎる!














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