おれ的わたし的2007ベスト




■お名前
成田佳洋

NRT.JP http://www.nrt.jp
blog Samba-Nova http://blog.goo.ne.jp/sambanova




■2007年にリリースされた音楽で、良かったものベスト10

※以下、同率1位5タイトルは全ジャンルから。ラティーナ誌に寄稿した内容と若干変えてあります。


1. FEIST /THE REMINDER
  ニール・ヤングとかルー・リードの名盤に並ぶような楽曲の素晴らしさ。
  それでいて今の空気を吸い込んだサウンドのみずみずしさ。
  最終的にすべてをパーソナリティーの魅力へと集約するたたずまいの美しさ。

1. KIP HANRAHAN /Beautiful Scars
  相変わらず人の気配が濃厚で、何層にも重なるストーリーに惹きこまれる。

1. VANESSA PARADIS /DIVINIDYLLE
  最高傑作。いまは夫となった恋人に、子供たちに、人生に恋をしつづける女性の物語。

1. V.A. /LE GRAND DINNER - TRIBUTE A DICK ANNEGARN
  M、サンセヴェリーノ、アルチュールH、etc, etc...
  最高のユーモアを、それなりのウイットにつつんで、あくまでフォーキーにつづった味な小品揃い。
  こういう歌がそのまま剥き身でレコーディングされて民衆に支持される国というのは、フランスとブラジルだけみたいだ。

1. ポール・ズーコフスキー /ポール・ズーコフスキーの芸術
  唯一再発もの。心を鎮めるようでいて、同時にざわめきたつような予感を含んだ、
  ケージや高橋悠冶作品などのヴァイオリン演奏。東洋的でタイムレスな刹那を感じる。




※以下、限りなくすべてのジャンルが内包されているブラジルもの5タイトル同率2位。


2. ヘナート・モタ&パトリシア・ロバート /サウンズ:平和のための揺らぎ
  ミナス・シーンの現役代表アーティストが、ヨガのマントラに曲をつけ、歌ったアルバム。
  という説明はどうにも怪しげだが、歌の純度を高めることでミニマル・ミュージックの域に到達した類まれな作品だと思う。

2. ホドリーゴ・マラニャォン /ボルダード
  全SSWファン必聴。サンバとサンバをめぐる音楽の一方のドアは、確かにこうした静謐さに通じている。

2. TIMBALADA /ALEGRIA ORIGINAL
  コノノNo.1はまあまあ、ディプロってのはメタボなファンキで、ましてや△・□・ホレーじゃね…じゃあ今、何がヤバいのか?
  Samba-Novaにはその答えが幾通りもあるはずだが、URがバイーアにとんで逆立ちしたよーな“Suplicio Sertanejo”はその一つ。
  いつもながらのサンバヘギも好きだけど、土地が生み出すパワーに頼りきるのでなく、そこを武器にして挑んでいる感じが最高。

2. O.S.T. /BRASILEIRINHO
  まあショーロですけど。19世紀と現代とがちゃんと線でつながってるこの感じはなんだろう。体が浮く浮く。

2. ホベルタ・サー /なんて奇妙で 素敵な一日
  久々の、サンバを「ポップスとして」響かせる女性シンガーの2nd。
  新世代ならではのプログラミングやスクラッチ音などの遊びもいいけど、
  歌のこまやかな表現力、わくわくするようなストーリー性の高さ、音楽の背景にある街の空気に魅了されっぱなし。








■2007年にリリースされた作品以外で、よく聴いた音楽
前の年に出たものをよく聴きました。
[2006年ベスト: blog Samba-Nova]
http://blog.goo.ne.jp/sambanova/c/2a85f1b04b512db84bf12ae0ca43afdb



あとは例外的にクラシック的なものを少々。



1. BLINDMAN SAXOPHONE QUARTET /PLAYS BACH
  バッハのオルガン曲をサックス・カルテットで演奏。

1. BRITTEN: PRINCE OF THE PAGODAS/ MCPHEE: TABUH-TABUHAN - BBC SYMPHONY ORCHESTRA/ SLATKIN
  ガムランに影響を受けた3つの現代曲を収録。ピアノの連弾でガムランを再現したようなトラック〜極彩色のオーケストラまで、
  エキゾものを聴く感じで。もっと録音のいいものがありそうだけど…

1. RAVEL: TRIO - SONATAS RENAUD CAPUCON - GAUTIER CAPUCON - FRANK BRALEY
  ラベルの室内楽をピアノ、チェロ、ヴァイオリンの3種取り合わせで。本末転倒だけどピアソラと同じような感じで聴ける。

1. MARIA ANA BOBONE /SENHORA DA LAPA
  クラシックとファドの領域を行ったりきたりする女性シンガーの98年作。いまにも天に召されそうな美しさ。

1. チャブーカ・グランダ /カダ・カンシオン・コン・ス・ラソン
  アルゼンチン音響もいいけれど、南米全土に眠るフォルクローレの名作の数々に、誰か手をつけてくれないものか、、、










■ライブ、イベント等々で良かったもの
  マリーザ・モンチ、アドリアーナ+モレーノ+ドメニコ+カシン










■自己紹介
  NRTというレーベルをやっています。
  Samba-Novaというブラジル音楽のCDシリーズ/DJイベントをオーガナイズしております。
  必要に応じてライターもやります。








■2007年はどんな年?
1.
このサイトをきっかけに、自分のイベントに遊びに来てくれた人が何人かいた。
同じようにここでの情報をきっかけに(ここだけで判断しているわけではないと思うけど)、
自分のレーベルのCDを買ってくれたという人も結構いるらしいことを知った。ありがたいことです。
2005年の同企画で、自分のコメントに対する管理人の後出しジャンケン・アンサーが気に入らず、2006年は投稿しなかったんだけど。
(渾身のメッセージ、のつもりだったのだが、オトナな意見によってその効力を薄められたような気がしてイヤだった。)
http://www.d2.dion.ne.jp/~ken001/05nrt.html


2.
けれど2007年の日本は、相も変わらず生きていくことが心細くなるようなニュースに溢れていた。
おれはこれを都心の電車の中吊り広告と、車内が醸し出す雰囲気によって測っているのだが。
せめて自分の子供には、他の社会・他の国で生活するという選択肢があることを知り、
また「いざ」という時に選ぶことのできる力をつけてもらえたら、と思ったりした。
自分の身は自分で守らないと。

さて。みなさんの人生には、これらの音楽がほんとうに役立ってくれます。









成田くん投稿ありがとう。
いまはハコのCLOSEがあって休止中だけど、「Samba Nova」は俺がクラブイベントってこうだったらいいな、と思ってたそのもの。最高。再開を気長に待つよ。 春からのラジオってのも楽しみ





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